Archive for 6月, 2012

shelf

土曜日, 6月 23rd, 2012

京都市美術館の井田照一さんの展示を見にいってきました。
基本的に版画を中心とした現代作家さんですがフライヤーで見た作品や
コンセプトがすごく造形的だったのでずっと気になっていました。

初期の作品は、版画のリトグラフを中心をしたポップな構成な作品が
多く、こちらはすごくかわいい作品ばかりです。

徐々に、井田さんがコンセプトとした”surface is the Between” の作品が2次元から3次元(間が生まれる次元)に変化していきます。
作品全体を通して井田さんの時間を具現化したような、まさに展示会ごとが彼のひとつの作品ような気がしました。

その中でも特に印象的だったのが、キャンバスに棚が突き刺さっていてその
棚の上下に同じオブジェクトが静止している作品群です。
見慣れたなんの変哲もない棚をブロンズの彫刻で制作しているのですが、
その緊張感と美しさがとても新鮮でした。

仕事上でもよく棚を扱うこともありますし、生活の中にも棚は溢れていますが
今まで棚について深く思考をめぐらせてことがなかったので、僕としては
かなり心を打たれる出来事でした。なぜ、棚が好まれるか?美しいと感じるか?

井田さんの言葉より

”棚に林檎がのった時、棚は同時に下からも同量の不可視的(気化)重力と
質量を得ている。よって棚としての場、すなわち接点の美しさがある。
棚は、上昇(気化)と下降(落下)の間(接点)の一瞬の凍結である。”

文章だけですと、少し小難しいですよね、、
作品を実際に見ることができれば不思議な緊張感と美しさがわかると思うのですが、、

井田さんいわく、クリエイトとは、その形状や美しさを写すのではなく
その場にある”間”(空気)の美しさを証すことだと。

空間を扱う仕事人としては、深く身が引き締まる時間でした。

自然と建築

金曜日, 6月 15th, 2012

ねむの木美術館にいってきました。
シャープなモダンな美術館という建物ではなく
やさしくて自然の風景の中にうまく溶けこんでいるような美術館です。
この美術館の通称”どんぐり”は、ねむの木学園という敷地に入ってから
細い山道をどんどん登っていくと突如どんぐりの頭が現れます。
このアプローチがすごく幻想的なんです。
ジブリ映画のワンシーンのようなアプローチです。

建物へのアプローチもすごく巧みでかわいいです。

エントランスを入ってレセプションを済ませ、そのまますぐに建物の外(中庭)
に出て、ゆっくりと傾斜のカーブ道を登って建物の2階部の展示室の入り口
に入ります。このルートの巧妙さと感動は、写真では絶対に伝わらないので
是非体験してほしいです。 歩く度に視線が変わりゆっくりと
建物や敷地と山の全貌が見えてくる感じは、なんともいえない体験です。




外壁の手描きの植物のペイントが建物のひとつの
特徴なんですが、トンボも思わずペイントの花にとまってしまうぐらい、
建物が自然に溶けこんでいます。

ちょっとしたディテールや家具も、ほんとうにかわいいです。
こんなにかわいくてやさしい建物や空間が作れるのかと久しぶり感動しました。
建築と自然の共存のあり方を教えられた気がします。
展示内容のねむの木学園の子供達のアート作品も建物や環境に合っていてすごく
魅力でした。

是非、子供をつれてお弁当を持って、ゆっくりとまた訪れたい場所です。