shelf

京都市美術館の井田照一さんの展示を見にいってきました。
基本的に版画を中心とした現代作家さんですがフライヤーで見た作品や
コンセプトがすごく造形的だったのでずっと気になっていました。

初期の作品は、版画のリトグラフを中心をしたポップな構成な作品が
多く、こちらはすごくかわいい作品ばかりです。

徐々に、井田さんがコンセプトとした”surface is the Between” の作品が2次元から3次元(間が生まれる次元)に変化していきます。
作品全体を通して井田さんの時間を具現化したような、まさに展示会ごとが彼のひとつの作品ような気がしました。

その中でも特に印象的だったのが、キャンバスに棚が突き刺さっていてその
棚の上下に同じオブジェクトが静止している作品群です。
見慣れたなんの変哲もない棚をブロンズの彫刻で制作しているのですが、
その緊張感と美しさがとても新鮮でした。

仕事上でもよく棚を扱うこともありますし、生活の中にも棚は溢れていますが
今まで棚について深く思考をめぐらせてことがなかったので、僕としては
かなり心を打たれる出来事でした。なぜ、棚が好まれるか?美しいと感じるか?

井田さんの言葉より

”棚に林檎がのった時、棚は同時に下からも同量の不可視的(気化)重力と
質量を得ている。よって棚としての場、すなわち接点の美しさがある。
棚は、上昇(気化)と下降(落下)の間(接点)の一瞬の凍結である。”

文章だけですと、少し小難しいですよね、、
作品を実際に見ることができれば不思議な緊張感と美しさがわかると思うのですが、、

井田さんいわく、クリエイトとは、その形状や美しさを写すのではなく
その場にある”間”(空気)の美しさを証すことだと。

空間を扱う仕事人としては、深く身が引き締まる時間でした。

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