新事務所

12月 28th, 2015 by admin

2015年から新拠点を構え、徐々に改装を加えながら
試行錯誤で空間の運営を1年間やってまいりました。まだまだ理想とする空間には
遠いですが、いやその理想すら変化していってるのかもしれないので
いつまでもたっても完成には至らないのかもしれません。でも常に変化し
成長していろいろな人が行き交うサロン(では格好良すぎるので
町の公民館)的な空間にしていければと思っています。

ABS ship と名付けてスタートしたこのシェアスペースプロジェクトは、
いわゆるシェアオフィスのような他業種の集まりの各々が仕事を
こなす単なる場の共有ではなく、ある共有の目的にメンバーで向かいながら
空間と企画をシェアしながら成果を上げていくというプロジェクトです。
空間を船(ship)に例え、シェアメンバーは、乗り組み員のような
もので目的地を決めながら、それぞれの得意とする技術を協同/分担して
航海をしていくイメージです。
Craftmanshipなどに付けられる-shipの姿勢や
精神という意味でのshipの意味も重ねています。
ABSは、Art & Business Sharing という頭文字の略です。
Art & Businessとは芸術性と商業性をちょうど半分づつ兼ねたバランスを
理想とする状態です。芸術的すぎるのでもなく、また商業的すぎるのでもなく
ちょうど良いバランスでデザインや商品開発、サービスを行うという理念です。
その理念をシェアしている他業種の専門家の集まりというのがABSになります。
偶然にも住所が夷川(エビスガワ)通りでしたのでABS(エビス)という読むように
しています。これは遊び心ですが。。

この1年を通して、ショールームスペースで展示会を行ってもらったり
撮影やトークショーなどの企画で普段なかなかお会いできない方々ともお会いすることができ、改めて場の力と場の大切さを痛感しました。
本当にたくさんの人と出会い、たくさんの方とお話させていただくことが
できました。年内最後のイベントには、京都市長の門川さんまで事務所に
来ていただいてお話させていただく機会もいただきました。

来年は、もっともっと魅力のある企画と空間に成長させて
更なる出会いを求めていろいろな事に挑戦していきたいと思います。
来年もどうぞABS shipとmisoをよろしくお願いします。
どうか皆様、よいお正月を。
また新年にお会いできるを楽しみにしています。

Amsterdam Report

11月 20th, 2015 by admin

2週間のアムステルダムでの展示が終了しました。
1年をかけて企画から携わり、会場の空間構成、ディスプレイ什器、
販売まですべて自分たちでやり遂げました。
たくさんの現地のお客さんに来場してもらい、日本の美しいものを
購入していただいたのはすごく実りのあるうれしい事でしたが、
それ以上に、今回の企画に賛同してくれ、わざわざ日本からアムステルダムに
来てくださった各メーカーの方や職人さん、一緒に働いているメンバーに
感謝感謝です。寝泊まりも会場の上の階での共同生活だったので
修学旅行みたいで、普段はあまり深く話せないことや、どうでもいい
しょうもない事を夜な夜な話せたことがすごく楽しかったです。
まさに同じ釜の飯を食べ、ワインを飲み語り明かした毎夜でした。
現地でのいろいろな新しい出会いもあり、今後、アムステルダムとは当分
繋がっていくのではと良い予感がしています。
本当にいろいろ大変で帰国した時には、くたくたでしたが、
これを単発のイベントにするのではなく、長く続けていけるように
今回の反省点なども活かしながらまた新たな出発にしたいと思ってます。
また次回、どこかの国のどこかの町でみなさんにお会いできることを
楽しみにしています。

Hello Amsterdam

10月 16th, 2015 by admin

1年以上前から、企画の立ち上げから従事してきた
オランダのアムステルダムでの展示がいよいよ今月の23日から
開催します。僕も、現地入して会場構成から什器のデザイン、設営まで
行ないます。現地でのアドリブも多々あるので、いつも一緒に動いている
建築家でもあり現場もこなす青木さん、木工家具職人の福田さんも一緒に
アムスに乗り込み現地で組み上げていきます。
国内からメーカーさんや職人さんもたくさん集まっていただけるので
日本の素晴らしい美意識をたくさんの人に伝えれる機会になればと願っています。
それでは、いざ出発です!!また現地リポートいたします。

We are proudly announce that open the exhibition of Japanese traditional crafts
in Amsterdam.
We have spent for preparation more than one year.
Many thesedelicate and exceptional crafts have rarely been available or seen in the Netherlands.
Please kindly visit the gallery and enjoy pure Japanese sense of beauty.

然るべき

7月 3rd, 2015 by admin

デザインをする仕事に携わっているので
デザインということについてよく考え悩まされます。

日々、感じるのはデザインという意味が曖昧で
デザインやデザイナーという言葉に
抵抗を感じる時があります。
仕事柄おかしな話ですが、僕自身が時にデザインが必要ないと
感じる事も多々あります。

デザインとは??

デザインは、日本語では、設計とも訳されるようです。
ある問題や対象に対して、思考、概念を組み立て、それを
様々な媒体に応じて表現することと解されるようです。

時にデザインがデザイナーのエゴになり、
機能性を欠き、それが原因で大きな損失や失敗を招くことが
あります。そしてそのような事も現実多いのではないでしょうか?

それほどにデザインというのはすごく難しく、繊細なものだと思います。
なので、常にデザインということに対して、注意深く
真剣に向き合うようにしています。

僕は、空間に関わるデザインの仕事です。

デザイナーは、アーティストではないので
まずは依頼者の要望や考えに寄り添う必要があります。
次に、空間の大きさや工事費用などの
条件に寄り添う必要があります。
そこでやっと僕の思考や解決方法が生まれます。
ただその段階では僕のエゴもたくさん含まれています。
これが美しいとか、これが使いやすいとか。。
そして、依頼主に僕の思考や解決方法を話します。
それに対して、依頼主の意見や経験を反映します。
できる限り依頼者と一緒にこの作業を何度も何度も繰り返します。
そして自問自答を繰り返します。

果たしてこのデザインが、
然(しか)るべき解決方法であるのか?

すると
初めは、なんだかごつごつしていた形が
徐々に丸みを帯びたやさしい形になっていくような
タイミングがあります。

然るべくデザインに入った時、ふっと傲慢な偏りや
不自然なバランスが消え始めて、無理のない
自然さを感じることができます。

すべての要素のバランスが整った状態です。

いいデザインとは、無理のない自然さが重要だと思います。
温かみがあって、やさしくて、心地のよいものだと思います。
自然の中に身を置いたときのような。。。

でもそれがすごく難しいことだと思います。
人が作り出すものなので、どこまでいっても作為的で人工的です。
いろいろな制約があり、感覚にも個人差が生じます。
結果が必ずしも万人に対して良い方向にいくとは限りません。
でも、意識としてその”然る”を目指すか、目指さないかは
結果に大きな差異を生むと信じています。

きっと然るべきデザインは、よりたくさんの人に愛され,
その場所に永く残ることができると思います。

それこそが、デザインするという意義だと今は思っています。

まだまだ僕には作為的な思いやエゴがつきまとうような気がします。
日々、勉強してそぎ落としていきたいと思います。
いいデザインができるように。

show window collaboration

5月 7th, 2015 by admin

藤井大丸の1Fのショーウィンドウに子供達のポートレイト写真の
展示のデイレクションと製作を行ないました。
子供達の笑顔がかわいすぎるので、それを前面に出す構成です。
そしてお隣のショーウィンドウには、
NY時代の友人のイラストレーターのこうさんの
ディスプレイが展開されてます。
NYに二人がいる時には、まさか京都の百貨店で同時期にこんなコラボレーションが
行なわれるとは。。
不思議な気分です。
なんか最近、こうゆう天文学的な確率の不思議な事が続いてます。

奈良探訪

8月 29th, 2014 by admin

前から訪れて見たかった吉田五十八設計の大和文華館に
行ってまいりました。
ゆるやかなカーブのアプローチを登ると、
ぱっと青空が広がったと思うと
現れたのは、ん?お城?とも思わせる建物。
ナマコ壁(目地の漆喰をナマコのように盛り上げる)で有名な
一見ぎょっとするでデティールは、
なんだか雲のようにもこっとしていて
水平ラインを強調したプロポーションとも重なって、
空と同化しているような不思議な建物です。

これでしかなない!と決定したであろうバランス。。。
んんん。。絶妙ですね。

しかしナマコ壁とはよく名付けたものですね。。
近くで見るとすごい。おもわずすりすり触ってみたくなります。
緑の豆タイルとの色のコントラストが奇麗です。
巨大ナマコ目地に豆タイルの目地なしの目地コントラストも
魅力です。

これぞ日本の指物技術ですね。。すごすぎる。。

建物は、ゆるやかな丘の頂上に建っているので建物の裏側は
ピロティーになっています。ここから見る最古のダムが
あったとされる蛙股池をぼーっと眺めるのがお薦めです。

続いては、志賀直哉旧居へ。
志賀直哉さんが自身で設計をしていたとは知らなかったです。。
恐るべし多才の持ち主です。
数寄屋風作りの中に、当時の最先端の設備を設けながら
合理的な間取りや水回りが印象的です。
中でも、はっとさせられるが数寄屋作りの中に海外の洋館であるような
サンルームがあることです。

南面に面したサンルームは、天井にガラスをはめ込み(当時はポリカの波板)
スカイライトが温かく空間に光を取り込んでいます。

食堂室に隣接されたこのサンルームは、大きな縁側ともいえる
中間的な空間で、家族やゲストの団欒が頭に浮かび上がってくるそれは
それは素敵なサロン的な空間です。
細部や家具にもこだわりがあり、なんとも幸せいっぱいです。
思わずにやけながら、長居してしまいました。

大正、昭和という時代の偉人による建築を体験して
はたして平成の僕は何を作り出せることができるのか?
後ろから肩をぽんっと叩かれて、
『君もまだまだだねー』と言われている気分でした。
勉強させていただきました!!

法然院と夕立

7月 30th, 2014 by admin

最近ずっとバタバタしていてゆっくりとお寺を見たりする
時間もなかったので、久しぶり夕方に家族と自転車で抜け出して
法然院の音楽会へ。
本堂の庭をバックにアコースティックのギターによる演奏の
最中に庭の獅子落としが調子よく『カコッン!』っと鳴ったり
虫の音が響いていたり、雷とともに夕立が降ってきたりと
自然のBGMがなんだかギターの音楽を引き立てているようで
気持ちの良い時間を過ごせました。

山門のどっしとした厚みのあるフォルムの茅葺き屋根が
頼りがいのあるやさしい形で印象的でした。
すごく奇麗なバランスで。。思わず見とれてしまいました。
帰り道に、安田師匠の手がけた素敵な料理屋さんの屯風によって
晩ご飯を食べて、なんだか幸せな夕暮れでした。

KYOTOGRAPHIE

4月 10th, 2014 by admin

4/19日から開催される国際写真展示フェスティバルの
会場デザインにゲスト展示空間デザイナーとしてmisoも参加します。
京都市内の全14カ所で開催されます。
misoが携わる会場は、京都駅7F東広場と祇園のAsphodelというギャラリーの
2会場になります。
是非、京都に来られる際は、会場にお越し下さい。
全会場ともすごく魅力的な展示会です。

展示会の詳細は、こちらから。

かしのきホテル

3月 18th, 2014 by admin

職業柄、旅先などでは、無理してでも1泊だけはいいホテルに泊まるように
しています。ホテルという空間が好きなのと、ホテルのこだわりや
ホスピタリティーを体感することによってたくさんの事が勉強になるからです。

今、一番泊まってみたいホテルはこのホテルです。
『かしのきホテル』

目新しい訳でもなく、高級な訳でもない、古い建物ですが
重厚でしっかりとした造りの老舗ホテル。
どんなお客さんも温かく向かえ、どんな時でも万全のホスピテリティーで
接客をする。
娘の絵本に登場するホテルですが、こんなホテルが本当にいいホテルだと
思います。すごくいいメッセージと本質を訴えている絵本だと思います。

もしどこかで見かけたら是非、読んでみて下さい。
こんなホテルに泊まってみたい。

miso table

2月 24th, 2014 by admin

久しぶりに家具の注文を頂き納品に行ってまいりました。
京都に住み始めてからずっと髪の毛を切ってもらっている美容師さんの
自宅のダイニングテーブルです。

家族や友達で囲めるようにと大きな円形にしました。

天板は、ウォールナットの無垢材φ1200mm、脚はmiso工場で製作の
特注鉄製です。
今回のミソは、2点。
依頼を頂いたのが奥さんからなので、男性的な無垢材と鉄の力強さ
と女性敵な繊細さを脚のパイプの細さで表現したいと考えました。
もう1点は天板の裏に施した無垢材の反りを止める三角形の反り止めパーツです。
天板の製作を担当してもらった木工職人の福田さんの提案で特注で力学的に
一番相応しい形を追求してこのような三角形になりました。
孫の代まで使えるようにと想いをこめたテーブルです。

最近の住宅や家具は、完成した時が一番良くてだんだんと悪くなっていく
ものが多い中、今回のテーブルはこれからの時間の経過によって
どんどんと味が出てくるものです。
10年後、20年後が完成形というところでしょうか。。。

意匠、製作を信頼してまかせてくれた中村夫婦様、
どうもありがとうございました。
今後も、テーブルと同じぐらい永いおつきあいをお願いします。