然るべき

デザインをする仕事に携わっているので
デザインということについてよく考え悩まされます。

日々、感じるのはデザインという意味が曖昧で
デザインやデザイナーという言葉に
抵抗を感じる時があります。
仕事柄おかしな話ですが、僕自身が時にデザインが必要ないと
感じる事も多々あります。

デザインとは??

デザインは、日本語では、設計とも訳されるようです。
ある問題や対象に対して、思考、概念を組み立て、それを
様々な媒体に応じて表現することと解されるようです。

時にデザインがデザイナーのエゴになり、
機能性を欠き、それが原因で大きな損失や失敗を招くことが
あります。そしてそのような事も現実多いのではないでしょうか?

それほどにデザインというのはすごく難しく、繊細なものだと思います。
なので、常にデザインということに対して、注意深く
真剣に向き合うようにしています。

僕は、空間に関わるデザインの仕事です。

デザイナーは、アーティストではないので
まずは依頼者の要望や考えに寄り添う必要があります。
次に、空間の大きさや工事費用などの
条件に寄り添う必要があります。
そこでやっと僕の思考や解決方法が生まれます。
ただその段階では僕のエゴもたくさん含まれています。
これが美しいとか、これが使いやすいとか。。
そして、依頼主に僕の思考や解決方法を話します。
それに対して、依頼主の意見や経験を反映します。
できる限り依頼者と一緒にこの作業を何度も何度も繰り返します。
そして自問自答を繰り返します。

果たしてこのデザインが、
然(しか)るべき解決方法であるのか?

すると
初めは、なんだかごつごつしていた形が
徐々に丸みを帯びたやさしい形になっていくような
タイミングがあります。

然るべくデザインに入った時、ふっと傲慢な偏りや
不自然なバランスが消え始めて、無理のない
自然さを感じることができます。

すべての要素のバランスが整った状態です。

いいデザインとは、無理のない自然さが重要だと思います。
温かみがあって、やさしくて、心地のよいものだと思います。
自然の中に身を置いたときのような。。。

でもそれがすごく難しいことだと思います。
人が作り出すものなので、どこまでいっても作為的で人工的です。
いろいろな制約があり、感覚にも個人差が生じます。
結果が必ずしも万人に対して良い方向にいくとは限りません。
でも、意識としてその”然る”を目指すか、目指さないかは
結果に大きな差異を生むと信じています。

きっと然るべきデザインは、よりたくさんの人に愛され,
その場所に永く残ることができると思います。

それこそが、デザインするという意義だと今は思っています。

まだまだ僕には作為的な思いやエゴがつきまとうような気がします。
日々、勉強してそぎ落としていきたいと思います。
いいデザインができるように。

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