Mr.Reinerと小包騒動

先日の誕生日に向けて、親友とmiso氏がプレゼントをサプライズの相乗り便でこちらに送ってくれたという。送ったのが11月15日だったそうですが、いつまで経っても荷物到着の連絡がないことを心配になったmiso氏から連絡が入りました。誕生日当日は、引っ越しも重なってる。追跡してみると18日には『お届け済み』という表示になっていました。私の手元には届いてないのにお届け済み!?荷物は一体どこに?!

ドイツでは、届け先が留守の場合は近所の人が受け取りにサインをして荷物を預かり、”○○さんに預けたので取りに行って下さい”というメモをポストマンが不在届けとして残します。今回は、そのメモも残っていなかったので荷物の存在を知る余地もなかったのです。他人がサインするんだからサインする意味ないじゃん!と思わず突っ込みたくなりますが。

追跡番号と日本に残っている送り状のinvoiceをスキャンしたものを郵便局に持っていき、調べてもらったけど荷物の行方はわからないと言う。クリスマスシーズンなので、贈り物の箱を抱えた人達で郵便局はごった返しています。そんな浮き足立った雰囲気の中で、心配顔の私はひとり灰色の空気をまとっていたに違いない(笑)窓口のおばさんは英語も通じないので、郵便局が提携しているDHLの電話番号が書いてあるカードを私に渡すと、”Viel Glück!”(=グッドラック)の一言を残すと次の人のところへ行ってしまいました。

DHLに電話をするも、自動応答マシンが指示してくるプロセスのしょっぱなからドイツ語が聞き取れましぇーん。顔や口の動きが見えない電話の場合は余計に聞き取るのが難しい。はやる気持ちを押さえて、翌日クラスメイトのドイツ人の彼女にお願いして電話をしてもらうと、Mr.Reinerという人がサインをして受け取ったことが判明しました!

でも、Mr.Reinerって一体誰??引っ越し前に住んでいた建物に行き、インターホンの表札を見ると確かにReinerと書いてあるボタンがあるけれど、ドイツのアパートは、インターホンには名前だけの記載で何号室か書いてないので、何階の何号室に住んでるのか全くわかりません。ドアに表札をつけている人も少ないので、またもやチャレンジ。同じ棟のドアを片っ端からノックするしかない。私が住んでいたのは1階。2階の2軒は、預かってないという。3階の2軒のうち、1軒は、ステテコ姿の太ったおじさんが私の顔を見るなり怪訝な顔で、”Ich weiß nicht.” (=I don’t know.)。3階はどこも留守、4階も違う。さすがに1階の人の荷物を5階の家に預けないだろうと思ったけど、5階にあがると、なんとドアにReinerの文字!他に2つの名字も一緒に書いてあるから3人でシェアしているのでしょう。ドキドキしながら呼び鈴を鳴らしたけど留守でした。

Mr.Reinerの居場所を突き止めたことで、ちょっと気持ちに余裕ができて探偵気分に。荷物を受け取る瞬間まであと少しだ〜。お金で買い直せるものならまだしも、親友とmiso氏の気持ちがこもっている、お金で買えない大事なもの。

その日の夜、再度電車に乗って前の家に向かいます。頭の中でMr.Reinerのイメージは出来上がっている。体格の良い、厳格な感じ、白髪まじりの口髭がダンディなドイツ人の中年おじさん。Mr.Reinerはきっとそんな人だ。5階、そのドアの前で耳を澄ませると物音が聞こえる!Mr.Reinerがいるぞ!高鳴る胸。呼び鈴を鳴らすと、中から”ヘイ〜〜〜!!”という妙にフレンドリーな女の子の声。ん??ドアが開くと同時に20代半ばくらいのブロンドガールが勢いよく出てきた。どうやら友達が遊びに来る予定だったみたいで、私の呼び鈴を友達だと思ったらしい(笑)『私の荷物を預かってくれてると思うんだけど?』と言うと、「あ、これね!」と下駄箱の上に置いてあった箱を手渡してくれた。Mr.Reinerのフラットメイトですね。

思い込みって恐ろしい。口髭をはやした中年のおじさんが出てくると勝手に思い込んでたから、ブロンドガールの気軽さに肩すかしをくらった気分。なんで2週間も荷物を取りにこなかったんだ?って逆に怒られるかもしれないから、不在届けが入っていなかったことを説明できるように練習をしていったのに。身分証明ができるようにパスポートも持って行ったのに。追跡番号と送り状のinvoiceのコピーまで持って行ったのに。もしまた不在だった時のために、ドイツ語の先生に書いてもらったこの上なく丁寧な手紙まで用意して行ったのに。『はい、これね〜!チュ〜ス!(=bye bye!)』で済んだ・・・

不在の場合はこの手紙を投函してくるつもりでした

大事に抱えて家に帰り、封を開けるとこんな顔が。

このおどけた顔を見た瞬間、涙がこぼれた

ひと騒動だったけど、大変な思いをして手に入れたこの誕生日プレゼントの一件は、一生忘れられません。親友とmiso氏に感謝。

 

 

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