鹿ヶ谷山荘

京都の大文字山の麓に、絶景のロケーションに建てられた山荘を改装した
京料理屋があったということは聞いたことがありました、、
それが、今回、開催されていた5人展という5人の作家による
展示会場の場所だということは、その会場に行くまで気づきません
でした。

哲学の道から、東山に向かってひたすら急な坂を登り続けます。
もう息もきれぎれになる山の麓まで歩き続けると、正面に
ふわっと、木々に囲まれたサインが現れます。ジブリの世界を思わすような
不思議な第一印象です。

石段のアプローチを登ります。
山荘が徐々にその姿を現します。
自分が階段を登るスピードに合わせてでその全貌が少しずつ現れます。
自分の目線が映画のカメラになったような、ストーリー感のある
アプローチです。


建物のテラスからは、東山が一望です。

建物に入るとすぐに
大きな無垢でできたカウンターと山を取り込む一面ガラス張りの
空間になります。
この空間がすごすぎる、、、
内部でありながら、外部のような空間。
1日の空の色。
季節の木々の色。
その自然の要素を、 吹き抜け空間がダイナミックに包み込みます。
写真では全然、空気感や雰囲気が伝わりませんが、
一歩空間に踏み入れた時の衝撃は、僕は、京都でも屈指だと思います。

今回は、このカウンターで、五人の作家の中で、工芸家としてではなく
(他の4人の方は工芸家です)、コーヒー豆の焙煎所を営む
大宅(オオヤ)稔さんのコーヒーを飲めるということです。
素材のこだわりや、本当においしいものを作り上げるという信念は、優れた
工芸家の姿と重なる。今回、普段、なかなかお目にかかれない
宝石のようなコーヒー豆を味わえるということで早速、カウンターの特等席に
座ります。オオヤさんのコーヒーは、茶道に通じるといわれているそうなので、
楽しみです。

豆は、数十種類から選びます。
様々な産地や焙煎にこだわった豆が並びます。
お客さんの気分や、好みに合わせて、焼き加減、
濃さ、そして器までを選定していただきます。

僕が、今回選んだのは、香りが独特なマンデリンという豆を選定しました。
マンデリンは、漆の器で飲むと一層香りが引き立つということです。
今回、僕が選んだ豆は、漆の器ということでしたが、豆によって、
そのコーヒーが一番おいしく飲める素材(陶器など)や
また器のサイズ(とっくりのような小さな器で噛めるぐらい濃く煎れたり)
をオオヤさんが選定してくれます。

オオヤさんは、コーヒー豆は、果実であり、木の実であるという。
今回僕が選んだマンデリンは、
まず香りは、オオヤさんいわく、奥深いコーヒーの香りの中にお米を炊いた時のような香りがすると説明してくれました。確かに、なんともいえないおいしそうな
お米の匂いがします、、それが漆の器の香りと混ざって、んんんー、
大地のめぐみ!!(大げさですね、、)といった印象です。
飲んだ後に口の中に残る、かすかな酸味と果汁のような味がふわっと広がります。
確かに、、、コーヒーは、ジュースですといわれれば、、苦いジュースって
例えることも納得させられるぐらい爽やかな後味です。
そして、時間をかけて飲むことによって、どんどん味が変わっていきます。

インスタントで、すぐ出来上がるのもコーヒー。
豆を選び抜き、焙煎し、挽いて、丁寧にドリップするのもコーヒー。
前者と後者では、同じコーヒーでも値段は、全然違うかもしれません。
インスタントより何倍も高いお金が必要ですが
その何倍もの満足感や幸せを与える。
それが、仕事をするということだと思いました。
すばらしい空間とすばらしい珈琲でした。

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