想像

京都ではお寺などでライトアップが始まっています。
赤や黄色に染まった紅葉が光に照らされて本当に綺麗です。

でも、僕は想像します。
もちろん京都の寺社仏閣が建立された頃に、LEDや照明器具はなく、
月の明かりと灯籠の蝋燭の灯りのみ。
そんな光に灯された空間や庭は、どんなに幻想的であったか、、

月の明かりが池に写りこみ、月光の反射が紅葉を照らす。
蝋燭の揺らめきが、紅葉の落葉をより幻想的に演出する。
完全なる”闇”の世界に浮き立つ”光と色”。

一度でいいから、そんなライトアップ(当時の明かりで見る世界)も
見てみたいです。

昨日、京都文化博物館で特別展示されている”京の小袖展”に
行ってきました。
桃山時代から江戸時代までにかけて、鎖国下で外国の影響を
受けない日本独自の純粋なデザインを体験できます。
1枚1枚、物語やメッセージを込めて作りだされる繊細な
染めや織りの小袖はどれも本当に美しいです。

特に僕が感動したのは、
白い麻地をベースに唐扇と花束の文様をあしらった小袖です。
その上質な麻地は、当時の越後で布を20日近く雪の上に
さらすことによるオゾン漂白作用によって、
雪のようなやわらかい白地が得れるというもの。
まさに雪の”白”の表現であり、雪を纏う(まとう)という
想いなのでしょうか。
もちろん、これは江戸時代に製作されたものですから傷みや色落ちがあり
当時の白色からはかけ離れているかもしれません。

でも想像します。
この小袖の、
雪景色の陽光に照らされ輝く朝の雪のような白を。
月に照らされ幻想的に浮かび上がる夜の雪のような白を。

雪を使って、雪の白を表現する。
そんな詩的なプロセスを考えだす日本人の美的センスと技術は、
世界最高峰だと思います。
京都に在住の方や、来られる予定の方は、
是非、日本が誇る世界屈指の美しさを体験して想像して下さい。
特別展”京の小袖” 
日本の文化って、本当にすごいです、、、

Leave a Reply